― 過去2回にわたり、渡米後1年で創業した会社を売却、アメリカ で2社目を起業をしたばかりの三和一善 さんに、ポイントについて伺った。

--  売り先は自分で見つけたほうがいい



三和一善 売り先を見つけるとき、自分で見つけるか、人に探してもらうか。その点について、僕は一度失敗というか、なんとなく納得がいかない経験をしているので、おそらく極力、自分自身が交渉の窓口となって売った方がいいと思っている。

三和一善 自分の会社のことは自分が一番よくわかっているからだ。買い手はだいたいが同業他社で、自分の会社にない部分を埋める目的が多いような気がする。少なくともアメリカ の場合はその傾向が強いように思う。実際に小さな買収が、このシリコンビーチエリアだけでも毎日のように起きている。軌道修正という意味では、仲介会社に頼むという方法もあるが、契約書など煩雑な作業以外では、自分で探して話をまとめた方が早い。と自分では感じている。





--  自分(創業者・社長)がいなくなっても、困ることはない。



三和一善「経験上でしか話はできないけれど、日本で会社を売るという話をすると、不安がる、または変な目で見る人が圧倒的に多い」ここでのお話は、経営者の方々を対象にしているとのことなので、その目線で話をする。

三和一善 はっきり言って従業員は自分の報酬や立場が変わらないかぎり、ほとんどはオーナーが変わることをそれほど気にしないと思う。もちろん、売却の事実を知ると最初はうろたえるかもしれないし、しばらく共に働いて、もしかするとお世話になった経営者の方々を惜しむかもしれないが、しばらくすると拍子抜けするほど、日常に戻るのが早い。

三和一善 みんな自分の人生を忙しく生きるのに必死で、前のオーナーのことなんてどうでもいいし、むしろ会社が大きくなっていくことで、(しっかりと着いていける人だけだが)学びや成長もあり、処遇も上がるだろう。売却後は新しいオーナーとの関係構築にも勤しむことだろう。

三和一善 人々は新たな会社にひどい目にあうのではと思うのだろう。しかし買った会社の従業員にごっそりと辞められてしまっては事業が立ち行かなくなり買い手が大損するわけだから、ふつうはおかしなことはしない。買い手は売り手側ときちんとコミュニケーションをとって、自分が買ったものが値段以上の価値になるよう努力する。ゆえに、そのあたりは心配する必要はないというのが僕の考えだ。もしかすると、新たな環境についていけない、または環境に馴染めない、といった人々から逆恨みで追っかけられる、というケースはあるかもしれない。


--  起業に「理念」を持ち込むのは後でもいいかもしれない。まずは「必要」なサービスかどうか。


三和一善 僕は日本人なので、アメリカ の起業関係のことはよくわからないし、実は最近シリコンバレーをはじめとして、ここシリコンビーチやその他の事情環境も比較的オープンな環境だと思っていたら、実はものすごく閉鎖的で、一見さんお断りみたいな世界だとわかり始めてから、アメリカ 事情の複雑さに困惑している。ただ言えることは、移民の起業率が高く、(単に雇ってもらえないから、自分でやるしかない)しかがって、やはりアメリカンドリームのようなイメージはあるのかもしれない。大半の起業家の目的は成功して売却かIPOをして、というのが多い。



三和一善 日本だと「お金儲けをして成功したいから」なんていったら、多分こいつは大した経営者じゃないとがっかりされ、総すかんを食らいそうだ。(人が何を期待して聞いているのかもわからないが)



三和一善 崇高なコーポレートなんたらというものいいとは思うが、理想論よりは、どちらかというと世間が必要としているか、お客様に支持してもらえるかどうか。そのあたりを非常に明確に説明できる会社が多い。従業員レベルでも、30秒くらいで自社と他社の違いを明確に説明するライトニングトーク術は日本の一般的企業のそれとは一線を画していると思う。怒られるかもしれないが、ここさえ外さなければ、いいと思う。



三和一善 起業して会社を売る文化は悪くないと思う。僕は、実はアメリカ の日常生活はあまり好きではないが、新たなアイデアや、試みがどんどんと表に出て、新たな人々が出てきて、それを潰すのではなく試してみる、そんな環境が整備されていると感じる。

そんなアメリカ の力強さを直接感じる時に、この国を去りがたいというか、ここでもう少しやってみようと思う。



人生100年というけれど、本当にそれだけあったら、もう2ラウンドくらいやれるかな。起業というか、何か商売を始めるとううことをもっと気軽にやってもいいのではないか。自分の人生だから。

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